謎の未承認国家、沿ドニエストル共和国へ向かう
ブナ ズィワ!
今日は謎の未承認国家、沿ドニエストル共和国に向かいます。
「未承認」も「沿ドニエストル」もよくわからないと思いますので、軽く説明を。
■未承認国家とは・・・
事実上独立しており、一定以上の国家の要件(領域、人民、権力)を満たしているものの、
政治的事情などから国際社会から広く承認を得られていない地域のこと。
例:中華民国(台湾)、コソボ共和国、パレスチナ国など
台湾は国連加盟国の20ヶ国以上から、コソボ・パレスチナは100ヶ国以上の国連加盟国から、
「国」として承認を受けています。
ちなみに沿ドニエストル共和国は、同じく未承認国家である、
アブハジア・南オセチア・ナゴルノ・カラバフからのみ国家承認を受けている状態。
モルドバ東部のドニエストル川東岸のエリアで、
世界的に承認こそされていないものの、事実上独立状態にある地域。
第二次世界大戦後ソ連の一部であったが、ソ連崩壊と同時に独立を主張。
元々ロシア系の人々が住んでいたこともあり、モルドバの一部分になることを拒絶した模様。
1992年にトランスニストリア戦争に発展し、すぐに和平協定が締結されたものの、
独立を主張し、現在に至る。
国際社会からはモルドバ共和国の一部と見られており、
沿ドニエストル共和国を「国」としては認めていない。
■要するに・・・
モルドバの中にあり、独立を主張しているが世界的には認められていない国、ですね。
今でもソ連が色濃く残る地域なんだとか。大統領も首相もいますし、ほとんど国です。
ちなみにモルドバよりもGDPは上なんだとか。
工業地帯や農業の主力地帯も沿ドニエストルの方が多いみたいです。
ということで、沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリに行ってこようと思います。
ティラスポリへはキシナウの中央バスターミナル(ガラ・セントラル)からバスが出てます。
片道30レウ(約180円)。
20〜30分に1本バスが出てました。
基本的にミニバス(マルシュルートカ)なんですが、
僕が行った時はちょうど大型バスがいて、それに乗りました。
満員だったんで50人前後は乗ってたと思います。
1時間ほど走り、国境に到着。
未承認国家ですが、国境があります。
モルドバ共和国は沿ドニエストル共和国を国として認めてないので、スルー。
モルドバの出国スタンプなどは押されません。
ここにはモルドバ・ロシア・沿ドニエストル共和国、それぞれの軍隊がいるんだとか。
たしかにそれっぽい人たちはいました。
続いて沿ドニエストル共和国のイミグレーションへ。
パスポートのスタンプは押されませんが、その代わりに紙をもらいます。
日帰りで帰る場合は、
おそらく12時間以内に沿ドニエストルを出ないといけないようです。
この国境はワイロがひどいらしく、お金を要求してきたり、
それを断った場合は、パスポートを破られた人も昔いたっていう噂を聞きました。
どこまで本当かわからないですが。
僕が行った時は賄賂の気配は一切ありませんでした。
運がいいだけかもしれないですし、
このあたりは自己責任になると思うので行かれる方はお気を付けください。
あともらった紙は最後まで持っておかないとマズいみたいなんで、
「決してなくさないように」とのことです。
国境通過後はまた快調に進んでいきます。
キシナウにあった、チェーン店っぽいピザ屋も目にしました。
今のところキシナウとの違いはほとんど感じないですね。
国境から走ること30分。
終点のティラスポリ駅に到着しました。
思ったよりちゃんとした駅です。
調べてないからわからないですが、キシナウやウクライナにも行けるのかな?
駅の構内も入れたので行ってきましたが、きれいでいろいろと整っている感じでした。
ちなみに沿ドニエストル共和国ですが、独自の通貨を発行しています。
両替所が駅前にありました。
沿ドニエストル・ルーブル。
この国の中でしか完全に使えないようで、モルドバですら両替はできません。
沿ドニエストルを出たら紙切れになってしまいますので、ご利用は計画的に。
帰りのバスもモルドバのレウで払えるとのことだったので、一切両替しませんでした。
両替してもよかったんですけど、明日にはウクライナ入りする予定で、
あんまり手持ちがなかった、っていうのもあります。
駅前にあったコニャック屋。
沿ドニエストルでは名産のよう。
何軒か売ってるところを見ました。
さて、だいたいの位置関係もわかったところで街歩きを開始します。
午後1時頃に到着し、午後4時頃のバスでキシナウに戻る予定です。
歩いていると目に入ってきた、団地兼ショッピングモール。
ソ連っぽいデザインです。
結構古そうな感じ。
早速入ってみましたが、アパレル&キッズ用品のお店でした。
平日の昼間っていうこともあり、お客さんの数もまばら。
入口のところにアイス屋さんがあり、そこはにぎわってましたね。
お母さんと子供の組み合わせを何組か見ました。
モールの前では体重計ビジネスをするおばあさんが。
久しぶりにこれをやってる人見ました。
たぶん1回あたり10円とか20円くらいなんだろうな。
1日何人が利用するねんっていう話ですよね。
このビジネスは誰か元締めがいるのかな?
「体重計買えば儲かりますよ」みたいなけしかけるやつが。
そいつらが儲かる的なね、わからんけれども。
どこかの国の領事館ですかね。
戻ってきてから調べたら、
「アブハジア共和国」と「南オセチア共和国」の旗でした。
未承認国家同士がお互いに「国」として承認しているみたいです。
ティラスポリを走るバス。
バスのカラーは、沿ドニエストル共和国の国旗カラー。
援助してるからかわからないですが、ロシアの国旗も描かれてました。
歩いていると現れたポスターと写真。
見た感じですが、沿ドニエストルの偉い方々でしょうか。
わざわざ街中にこれを作る意味がよくわからないですけどね。
トルクメニスタンを思い出しました。
たぶんドニエストル川。
国名の由来にもなってるやつです。
訪れたのが8月で気温も30度以上あったんで、みんな川遊びしてました。
暑いし気持ちよさそうですな。
次に目に入ってきたのはこちらの戦車。
博物館で見たことはありますが、街中で飾ってあるのを見たのは初めてです。
トルクメニスタンも戦車の看板があったし、その辺はやっぱ似ている。
ここは常に燃えているっぽい火があったり、女神像のようなものがありました。
トランスニストリア紛争か何かのモニュメントかな?
何かはよくわかりませんでした。
たぶんレーニン像。
旧ソ連圏のキルギス、カザフスタンぶりに見ました。
ソ連の初代最高指導者ですね。
ロシア革命のあの人です。
ティラスポリの別の場所でも見たんで、
いまだにレーニンが崇拝されている様子が垣間見えます。
沿ドニエストルの国旗と国章が合わさったもの。
麦の茎、トウモロコシ、ブドウ、クローバーなんだとか。
真ん中の鎌と槌、赤い星は共産主義のシンボルですね。
何度か目にする「1792」。
これは1792年のヤシ条約のことで、
これにより現在の沿ドニエストルの領土にあたる土地が
オスマン・トルコからロシアへ譲渡されたとのこと。
ソビエトの家と呼ばれている場所でも再びレーニン像を目にしました。
やはり大人気のレーニン。
こちらはおそらく沿ドニエストルの英雄が飾ってあるコーナー。
政治家以外にも修道士のような方や宇宙飛行士が。
「地球は青かった」のガガーリンなのかなー。
生まれた年は一致してるけど、1974年が何なのかよくわからん。
たしかコニャック工場。
ここで買えるかどうかはわかりませんでした。
この標識にある「10月25日通り」で上にある写真のほとんどが見れます。
ティラスポリ行かれる方はこのあたりをぜひ。
滞在時間は2時間程度だったのでわからない部分も多いですが、
キルギスやトルクメニスタンなどの同じく旧ソ連圏と同じ雰囲気を感じました。
ただ、こんなにもレーニン像を強く打ち出している都市は初めて見ました。
ロシアもさすがにこんな感じじゃないだろうし。
もう少し長くいるといろいろと見えてくるかもしれないですが、
泊まる場合は滞在登録などが必要でめんどくさそうなので、残念ながら日帰りです。
帰りも無事に行きでもらった紙だけ渡して国境通過できました。
ちなみにキシナウ行きのバスはティラスポリ前から出てます。
スケジュールは不明。
何があるっていうわけじゃないですが、いろいろと興味深いティラスポリ。
ソ連の色を強く感じました。
キシナウに滞在される方は気が向いたら行ってみてください。